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第六回 会社がよく間違う選択

今日は、大イカ対MBAです。
今回は、企業が英語ができる社員を必要とする際に、よくやる間違いについてお話しします。


ある会社が、英語力がある社員を必要とする場合、大きく分けて二つのアプローチがあります。


1.英語力のある人(例えば留学経験者や帰国子女)を取る
2.英語力に関係なく、他のクライテリアで採用し、入社後必要な英語力をつけさせる

多くの企業は、1の方法をとることが多いと思います。この手の企業は、日本のみならず海外でキャリアフェアーのようなイベントに参加し、卒業を控えた留学生相手にインタビューをしたりします。
しかし、私に言わせると、これは100%間違いです。勿論、この手法で企業の本業に沿った、または要求に見合った学生を採用出来ることがあるかもしれませんが、それはほとんど僥倖と言って良いほどの幸運であり、決してそれを期待して臨んではいけません。 したがって、正解は、どんな理由があろうと2になります。この理由については、世界的なカリスマ経営者に語っていただきましょう。
GE
の元CEOジャック・ウェルチが日本経済新聞の「私の履歴書」に連載をした時の話。
ジャック・ウェルチは、「私の履歴書」の中でまるで三題噺のように、「実はあまり関係なかった(役に立たなかった)事」について話しています。


要約を記しますと:
ジャック・ウェルチ自身は、いわゆる営業の経験はしたことが無かった。
したがって、セールス&マーケティング部門のスタッフを採用する際には、できるだけ弁舌さわやかな人を優先して採用するようにした。
だが、これは実際の職務遂行能力とあまり関係が無いように思えた。


ジャック・ウェルチは、いわゆる有名校の出身ではなく、そのことに軽いコンプレックスを抱いていた。
そこで、ある一時期、米国東部の有名私立大学(いわゆるアイビーリーガー)の卒業生を積極的に採用するようにしてみた。
だが、これも入社してからのパフォーマンスとはあまり関係無いようであった。


ジャック・ウェルチは、日本語は全くできなかった。
そこで、GEが日本に進出するに当たっては、英語が堪能な人を優先的に採用するようにした。
ところが、これは能力とは全く関係が無かった


ジャック・ウェルチは、これらの経験談の教訓として、結局のところ、現場における能力とは、本人の仕事に対するやる気や誠実さが重要であり、①~③で試したことは一切関係が無かったとしています。
面白いですね。最後の「英語力と職務遂行能力には、全く関係が無い」というのが三題噺のオチのように書かれているのを読んで、私は我が意を得たりという思いをしました。なぜなら、私自身が身の回りを見て感じてきた事と全く同じだったからです。

でも、この話は、この連載の第3回で書いた、「英語を理解する力と特定の領域に関するスキルとは相互独立である」と同じ事ですよね。


一般に海外までリクルートイベントに出かけられるような企業といえば、そこそこ大企業か、あるいは、経済的に余裕のある企業でしょうから、採用する基準が勢い高くなります。ところがそこで、海外で「英語が堪能な人」を採用しようとすると、ハッキリレベルが落ちた母集団(学生)から選択せざるを得ません。別に日本人留学生のレベルが低いと言うことは無いのですが、国内で採用する場合と比較してと言う意味です。
感覚的に言うと、日本で早稲田慶応あたりが基準となる企業の採用レベルが、米国で採用する学生の平均は、大東亜帝国あたりになるのではないでしょうか。


従いまして、英語が堪能な社員が必要な企業は、国内で優秀な学生を採用して、英語が出来るように鍛えるのが正解です。
ただし、この方法には、ひとつだけ欠点があります。それは、一部の例外を除くと、大学卒業後に鍛えたところで、いわゆるネイティブにはならないということですね。
勿論、中には例外的に、大人になっても飛躍的に語学力を伸ばす人がいますが、一般的にはそれはかなり困難です。
人の言語を司る能力には、年齢による限界がある事を、「臨界期仮説」と言うようです。
私自身、数多くの英語が堪能な人を見てきましたが、大人になって英語力を伸ばす(ネイティブ並に、発音でき、かつ聞く事が出来る)のは本当に難しいと思います。
でも、それを除けば、できの悪い(或いは並程度の)留学生を採用するより、優秀な人材を日本国内で採用し、国内で英語力を鍛える方が理にかなっていると言えるでしょうね。
普通の企業において、ネイティブ並の英語力が必要とされることは稀でしょうから。
留学生或いは帰国子女って、英語ができることにあぐらをかいている輩が多いのです。上で紹介したジャックウェルチの評価が全うで正当なものだと感じます。
何度も言うようですが、これは大イカ対MBAの評価ではありませんよ、ジャック・ウェルチが語っているのです。


結論:企業が、英語力がある社員を必要とする場合、留学生や帰国子女から選んではいけない。国内で優秀な学生を採用し、入社後に鍛えるべき。